F1第6戦カナダGPは興奮の坩堝(るつぼ)でした。2004年、BARホンダの2ndドライバー佐藤琢磨はその速さを見せつけながらも、腐ったエンジンが壊れまくってリタイア多発(ドライビングに原因がある、などとほざく奴は当時の記事を読み漁れ。原因は全てチームにある)。2005年は焦りすぎてバカを繰り返してシーズン終了後に解雇されます。そして2006年急造のチーム、スーパーアグリの1stドライバーになります。しかしマシンは4年前の化石を改造したもので、チームの年間成績は最下位。しかし最終戦で10位になるまで力をつけた、その異様な速さの進歩、それが救いでした。今年は昨年のホンダのマシンがベースですが、ルール変更に対応したため、もとから大したこと無いマシンですから速いはずがありません。
今年は2種類あるタイヤの両方をレース中に使わないといけません。これがミソです。カナダGPはクラッシュ多発で、セーフティカーが4回も出てくるという荒れたレースになりました。琢磨はそれを利用して、セーフティーカーに先導される間だけ不利なタイヤを履くという作戦を強行。ルールの足枷で順位を落としますが、終盤は速い速い。フェラーリのライコネンを抜いて置き去りにし、トヨタのラルフを料理し、残り2周のところで、最速マシンであるマクラーレンに乗るチャンピオン、アロンソをあっさりと、しかし攻撃的且つ豪快に抜き去りました! 生放送なので午前4時。でもこれは叫んでしまいます。サーキットのカナダ人たちも立ち上がって大歓声をあげていました。結果6位。昨年急造チームで21位と22位が特等席だったのに、6位! 今までのF1では有り得ない話です。これ、状況を辿るとドライバーが凄いとしか言えないんですよ。F1公式サイトでも絶賛、その他の海外サイトの投票でも初優勝新人を押さえて「最も活躍したドライバー」になっていました。
2004年にあの走りを見て「遅い」なんて言ったバカは誰だ?
|