HSR  

続・ある講義

 はい、今日は。先週の話、覚えているかな? アキレスと亀だ。永遠に追いつけないってことだけど、そんなことはない。正解を示そう。
 まず、アキレスの速さをv、亀の速さをuとしよう。亀とアキレスの距離がa[n]のときには、アキレスが亀のいる地点までの半分の距離つまりa[n]/2だけ進むのにかかる時間はa[n]/(2v)。その間に亀は(a[n]u)/(2v)だけ進む。つまりこの時のアキレスと亀の距離は、
{a[n]/2}{1+u/v}ということになる。これをa[n+1]とする。初期状態をa[0]=Aとすれば、
a[n]=A{(1+u/v)/2}^n
ということになる。従って、アキレスが進むという操作のn回目にかかる時間は、
t[n]=a[n]/(2v)={A/(2v)}{(1+u/v)/2}^n
だ。永久に繰り返すということだから、t[n]をn=0からn=∞まで足そう。無限等比級数の和だからv>uを用いて、A/(v-u)だ。これって、有限の時間だね。無限に操作を繰り返しても時間は無限じゃないんだよ。これが答えだ。
 無限の操作を無限の時間として考えたから矛盾が生じたということだね。結局は追いつくぎりぎりの時間までしか考えていなかったんだ。
 レポート、誰も出してなかったぞ。分からなかったかぁ。

----- 完

執筆後記

 くだらないお話でした ね。それにしても数式を書くのが面倒でした。

Novel H-SHIN's rooms